Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.285 Zeichen · 330 Bildschirme
ところが式部のほうでは、自分領に間違いなし、と主張してゆずらない。それでは検地図にしたがって、郡境に標を立てることにしよう、と云うと、郡境の標を自分らで立てるのは公儀を軽んずるものである、これは国老に訴えて正式の裁断を求めるべきだ、と云い返して来た。だが、そうまですることは、安芸にとって、いかにもおとなげないし、こと面倒と思ったから、式部の主張するままに、抗議を撤回した。
「そのとき、こと面倒で片づけたのがいかなかった」と安芸は続けて云った、「こちらがへこんだとみたのであろう、こんどは小里村、赤生津の二カ所で地境を侵しはじめ、また、深谷でも大窪村の西にある田地十町あまりを、若生半右衛門に分与した、――これはあまりに涌谷をふみつけにした仕方だ、こちらの領分を、式部の欲のために削り取ったというだけならまだよい、けれども、さらに二カ所で地境を侵し、かすめ取った土地を他の人間に与えるということは、もはや単なる欲のためではなく、涌谷を嘲弄するものだといわなければならない」
そうではないか、と安芸は甲斐を見た。
「よくわかりました」と甲斐は穏やかに頷いた、「お怒りのほどもお察し申しますが、しかし、御承知のとおり一ノ関がうしろにおります、式部さまがさような不法なことをするのは、うしろから一ノ関がたきつけているのだと思います