Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.285 Zeichen · 330 Bildschirme
宇乃はどうしていいかわからず、その手紙を甲斐に見せた。甲斐は当惑したようすで、もうおまえも子供ではないのだから、こういうことは自分で始末をするがよい、と云った。
宇乃はそのままにしておいた。すると或る日、湯殿の控えで、丹三郎からじかに返辞を求められ、宇乃ははっきりと断わりを云った。自分はまだ年も若いし、父の罪でお預けの身だから、と云ったのであるが、本当は丹三郎に対してなんの感情も動かず、むしろ、文などを付けられたことで、かすかながらうとましくさえ思った。
いま帯刀に対しては、うとましいなどという気持は少しも感じない。また、彼は丹三郎のように、云い寄ったりしたわけではない。にもかかわらず、あのときと同じような、一種の感じで躯が固くなった。どうしてだろう。帯刀のうしろから歩いてゆきながら、宇乃はぼんやりと自問自答した。
彼はいちど、話してもむだだと云い、また思い返したように、縁談が起こっていることをうちあけた。これはどういう意味だろうか、自分が青根の宿のときのような、一種の警戒を感じたのは、なぜだろうか。
そんなふうに考えあぐねていると、前をゆく帯刀が、誰かに呼びとめられた。