Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.285 Zeichen · 330 Bildschirme
「――だろうね、わかるよ」
「わかるでしょ、新さんならわかるわね、あんたはあたしに似ているんだもの、あたしが似さしちゃったんだわね、あんたには悪いと思ってるの、あたし新さんには悪い女だったわ、でも好きだったんだもの、堪忍してね、あたし新さんが好きだったんですもの、ほんとよ、金も物もなしに、しんから好きになったのはあんただけよ、新さん一人っきりよ、わかるわね」
「少し休むほうがいい、少し酒を休んで横になれよ」
「あたしが酔ってると思うの」
「いいから横になれ、横になって話すほうが楽だよ」
「いいわ、云うことをきくわ、その代り膝を貸してね」
おみやは崩れるように横になり、新八の膝を枕にした。髪が歪んで、蒼くなった顔におくれ毛が垂れた。
――いけるぞ。
と新八は思った。こいつでいける、おみやのかきくどく調子、こいつだ。こいつで新らしい曲をくふうしよう、はでな手は要らない、女の嘆きをそのまま糸に移すんだ。諦めや、みれんや、嘆きや悲しみを、聞く者へじかにぶっつけるんだ、聞く者の胸へじかにひびくような。そうだ、はでな手なんか要るものか、この気持をそのまま糸に移せばいいんだ、と新八は思い、にわかに心が昂ぶって来た。