Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.285 Zeichen · 330 Bildschirme
「かよたんはね、こんどたあたまのお国へゆくのよ、かあかんといっしょによ、そうですよ、お国へゆくのよ」
「そうか、それはえらいな」
「たあたまのお国は、ええと、ええとね、ええと、かまばっかりなのよ」
「かまばっかりか」
「お山でしょ」
とおくみがいった。
かよは頷いて、「ええそう、かまよ」と云った。
「おかまばっかりで、かまにはちかがいるのよ、ほんとよ、こーんな大きなちかがいて、ちかもお乳をのむのよ」
「そんなに大きくてもか」
「大きいのはのまないのよ、かあかんが怒るのよ、いけませんって、それでものみたいって云うと、お乳が辛あくなるのよ、それで、ええと、それで、ちかはたあたまを、ええと、ええと、ちかは、云わらいないわ」
「鹿が父さんをいじめるのか」
「ちかは悪いのよ、たあたまをいじめて、悪いちかなのよ」
おくみがいちじくを小皿にのせて、甲斐の前へさし出した。皮を剥いたいちじくは、白い肌を出して、果頭の部分が、薄紫色のぼかしになって、えみ割れていた。
「かよも喰べるか」
甲斐はその一つを取ってかよに与えた。おくみが、かよさんはあとで、と云ったが、かよはすばやく歯を当てていた。