Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.285 Zeichen · 330 Bildschirme
「そのお茶をお飲み」と甲斐がやさしく云った。
茶を飲めばおちつくだろうと思ったが、少女はほとんど逆上ぎみで、飲もうとした茶は、手がふるえるため、半分くらいもこぼれて、ひざをぬらしてしまった。
「どうしてぬけ出たのか」と甲斐は質問を変えた。
少女は、不浄門のわきから、と答えた。不浄門のわきに、塀の一部が外れるようになっていて、若侍などがときどき隠れ遊びに出入りをする。伊達屋敷は諸侯の中でも特に門限が厳しいので、そういうぬけ道ができたものであろう。もちろん発見されれば処罰はまぬかれないが、これまでに罰せられた例はない。少女はそこからぬけ出したのであり、それが家法をやぶるものだと知っているので、いっそうおびえている、というふうであった。
「親元へ帰ってどうする」と甲斐はまたきいた。
少女は、親元にいるのではなく、帰ったらすぐ親類へ身を隠すつもりである。それは鳥羽から注意されたことで、金も貰って来た、という意味のことを、おろおろと答えた。
「それならいい」と甲斐はうなずいた、「鳥羽どのにも云われたであろうが、どこへ隠れるにせよ、屋敷で見たり聞いたりしたことは口外しないように、もし人に話したりすると、おまえがみつけだされるもとになる、わかっているな」