Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.285 Zeichen · 330 Bildschirme
彼は新八を押えたまま、床板を足で踏み鳴らした。又五郎は見ていた。おみやが野中さまと呼びかけ、又五郎は首を振った。そして、いま止めてもむだです、危なくなったら私が出ますから、と云った。二人の女が来て、道場の四方へ灯をつけてまわった。
「きさまは饒舌りすぎた」と六郎兵衛は新八に云った、「度胸も力もないくせに、根性だけは女のように疑いぶかく邪推ぶかい、しかもその長い舌が禍のもとだ、その舌は人を誤りおのれの身を亡ぼす」
「手を放して下さい」と静かに新八が云った、「貴方がいくらどなったところで、もう私はごまかされはしないし、事実が隠せるものでもない、どなるのはやめて、どうしたらいいのか云って下さい」
「いって木剣を取れ」と六郎兵衛は彼を突き放した。新八は前へよろめき、いやですと云いながら、そこへ坐ってしまった。
「貴方に向かって木剣を持ったところでどうなるものではない、好きなようにしたらいいでしょう」
六郎兵衛が「こいつ」と喚いた。
これより少しまえ、道場の杉戸口を細めにあけて、中のようすを覗いている男があった。六郎兵衛の怒号を聞きつけて来たものらしい。杉戸口の外から、眼だけで中を覗いていたが、六郎兵衛がこいつと喚き、大股にいって、木剣を取って戻ると、静かに杉戸をあけて、その男がはいって来た。