Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.078 Zeichen · 285 Bildschirme
甲斐は振り返って主水を見た。主水は二間ほどはなれたところに立って、不快そうにこっちを眺めていた。
「よくごらんなされ、ここが――」と十左衛門は杖で地面を打った、「ここが七十郎の死躰を捨てたところです、七十郎はここで、野晒しになったのですぞ」
草むらの中のそこだけ、約一坪ばかり、裸の地面があらわれてい、十左衛門はそこへ杖を突き立てたまま、見えない眼で甲斐をにらんだ。
「七十郎がなにをしようとしたか、原田どのはご存じであろう、彼は御家臣ではなかった、一粒の扶持をも頂いてはいない、しかし御家を毒する悪人があり、それを除かぬ限り六十余万石は安泰でないとみて、無禄の身ながらこれを誅殺しようとした」と十左衛門は声をふるわせて云った、「――御家を毒する悪人が誰であるかということも、その人間を除かぬ限り六十余万石が安泰でないということも、家中で知らぬ者はなかった、心ある者はみな知っていて、しかも誰ひとり手をくだそうとしなかった事を、処士である七十郎が決行しようとしたのだ、それが、小野の家従に裏切られて繩にかかり、獄に繋がれ、吟味らしい吟味もされずに打首となった、打首のうえ死躰をここへ捨てられたのだ」