Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.078 Zeichen · 285 Bildschirme
と云って、かよは笑いだした、「そうしたら間違えてしまったのよ、やそしまのやを間違えちゃって、あみださまのあを書いてしまったのよ、ねえお父さま」
「よして」とおくみは眉をひそめた、「よしてちょうだいかよさん、阿弥陀さまと間違えたなんて縁起が悪いじゃないの」
「あら、阿弥陀さまなんて云やあしないわ、あみださまのあと間違えたって」
「よして、よして」おくみは怯えたように、暴あらしく遮った、「どうしてそんないやなことを云うの、よしてちょうだいって云ってるじゃないの」
「なにをそうむきになるんだ」と甲斐は微笑しながら云った、「仏壇に弥陀の像を飾っているのに、阿弥陀と云うのが気になるなんておまえのほうがおかしいぞ」
「さぞおかしいでしょう」おくみは涙ぐんだ眼をそむけた、「あなたにはあたしの気持なんかおわかりにならないんですから」
「かよがいるぞ」
「どんなにあなたのことが心配だか」おくみは指で眼がしらを押えながら云った、「世間の噂を聞くたびに、いまにも大変な事が起こるのではないか、不吉な知らせが来はしないかと思って、朝までまんじりともしない晩が幾夜つづいたかしれやしません」