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Japanische Klassiker mit Furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.078 Zeichen · 285 Bildschirme

Aozora Bunko

献上の品の披露には自分が当ったのだ、と甲斐は思った。

――涌谷は旅の所労を申上げて、御殿へ伺候しなかったが、これは一ノ関がひそかに手をまわして、毒害の計画を立てている、という密告があったからで、そのため両後見の屋敷へすらゆかず、使者をもって挨拶し、自分は麻布屋敷にこもったまま、まだ一歩も外へ出ずにいるのである。

甲斐はそう注をして読み進んだ。

「同じく十五日。綱宗さまから涌谷へ、ひそかに書状が遣わされた、ということがわかった。十三日のことだという」

「同じく十六日、幕府申次の大井新右衛門から使者があって、涌谷さまは初めて麻布を出、大井方へ出頭された。そこにはやはり申次の島田出雲、新たに申次となった妻木彦右衛門が同席して、対談一刻に及んだという」

この日から堰が切って落されたのだ、と甲斐は思った。

安芸さまは地境の争いを仔細に述べられた。それで午後七時に、三人の申次から自分に使者があり、志賀、浜田、今村、横山ら四人を、地境検分の責任者として出頭させよとの口上により、絵図、覚書を持たせて、四人を大井方へ遣わした。

――では境論だけにとどめるのか。

そう思っていると、夜になって安芸さまから密使があり、「境論とはべつに、藩内仕置の件を取上げてくれるもようである、まことに本懐なり、もはや面談のおりはないだろう」