Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.078 Zeichen · 285 Bildschirme
これは躯に三つの癌を持っているようなものだ。このままにしておいては、必ずどれかが命取りになる。たとえば取潰すことが無理なら、分割して力を弱める策だけはとらなければならない。
――おれの手でそれをやってみせる。
おれのほかにそれをやる者はいない。きっとおれのこの手でやってみせる。こう思いながら、彼は自分の右の手を見、柔らかな、色の白い、そして太った手をひろげ、それから、なにかを掴むように、静かに、しっかりとその指を握りしめた。彼はまた立停り、右手の拳で左の掌を強く打った。
「よし、網を解いてやる」と雅楽頭は声に出して云った、「こんどは掛けた網を解いてやる、だがよく聞け、原田甲斐、――網は解いてやるが、きさまに琴は弾かせぬぞ、琴も弾かせぬ、歌もうたわせぬぞ」
雅楽頭は五拍子ばかり黙って立っていた。それまで頭の中で渦巻いていたものが、しだいに一点へ凝集し、鮮やかなかたちをとるのが感じられた。
「やむを得まい」と彼は放心したように呟いた、「秘策のもれるのを防ぐためには、知っている者をぜんぶやるほかはない、甲斐はその第一だ、彼はそれを知り、六十万石を護った。しかしその代償は払わなければならない、評定の席へ出る者にはみな、その代償を払わせてくれるぞ」