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Japanische Klassiker mit Furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.078 Zeichen · 285 Bildschirme

Aozora Bunko

それは七十郎の遺書を読んだときから始まっていた。断食三十余日めにこれを書す、という文字を見て、その文字にあらわれている「壮烈」さを感じたとき、伊東一族に加えられた残酷な刑罰の実感が、しだいに軽く、うすらいでゆき、小さく、ごく小さく、ちぢまってゆくように思えた。そうだ、と甲斐は頷いた。そうだ、これは七十郎が自分から求めたものだ、と彼は思った。

遺書は姉に宛てたものがもう一通あり、それには次のように書いてあった。

返す返すも天命をかんがえ申し候えども、少しもかなしむ事はなきもの也、むかしの文王さえ里と申すところにとらわれ申し候、そのうちに易と申す書、つくらせ給う也。

このほどこころざし候て、しゅく(宿)の老のため、とらわれとなり申し候、いにしえのおうとうのごとく、くるしみをうけ申し候えども、のちの世、きくものかんぜざらん事あるべからず、すこしもうれいかなしみはなきものなり、めでたくかしこ。

いとう七十郎

あね様

そしてこれは、手錠をかけられているため、筆を口に啣えて書いたものだ、と記してあった。もちろん、二通の遺書は写して送ったものであるが、のちの世、きくもの感ぜざらん事あるべからず、という文言は、「断食三十余日めに」