Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.078 Zeichen · 285 Bildschirme
「七十郎は七十郎らしく生き、七十郎らしく、あまりにも七十郎らしく死んだ、彼にはほかに生きかたもなく、ほかに死にかたもなかったということを考えたのだ」
「まことにひと筋な、紛れのない方でございました」
「彼は満足したことだろう」と甲斐が云った、「彼はなにごとにも満足しない男だったが、自分だけには満足していたようだ、死んでしまったいまも、自分の死にかたについて、さぞ満足しているだろうと思う」
惣左衛門は口をつぐんだ。
「これにようすが書いてある」
甲斐はそこにある書状を、惣左衛門のほうへ押しやった。
「あとで読んでおくがいい、私は湯島へでかける」
「平六はいかが致しますか」
「話しがあったら聞いておいてくれ、どうやら雨になりそうだ、降りださぬうちにでかけるとしよう」
供は久馬と喜兵衛だと云って、甲斐は立ちあがった。
甲斐は駕籠ででかけた。空はうっとうしく曇ってきて、湿気のあるなまぬるい風が、ときどき、乾いた道の上に埃を巻き立てていた。駕籠が源助町にかかったとき、先に立っていた村山喜兵衛が、なんだ、なに者だ、と誰かを咎めた。
「原田どのにおめにかかりたい」という声がした。