Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme
梶は郷愁を覚えて来るのだった。
「何という名?」
梶の訊ねたのに対してヨハンが代りに、
「イレーネ」と答えた。
イレーネはヨハンにまた何か囁(ささや)くと、ヨハンはそれをまた梶に通じて、
「この子はあなたのネクタイを、いいネクタイだと賞めていますよ」と云った。
それでは君が結婚するとき、その愛人にやるネクタイを、もしこれと同じにする気があるならパリから一つ送ろうと梶は冗談を云ってみた。
ヨハンはそれをまたイレーネに告げてから、再び笑いながら、あなたに接吻をしなさいと今云ったのですよ、と梶に云った。イレーネは云われたごとくおそるおそる、梶の方へ身をよせかけて来て、そして、彼の右の頬(ほお)に唇(くちびる)を軽くつけ、ぽっと赧(あか)くなったと思うと、両手で顔を蔽(おお)って俯向(うつむ)いてしまった。
「この人は日本の娘そっくりだなあ」
と梶は笑った。そのとき、渦巻いているホールの賑やかさの中から、バンドの喇叭手(らっぱしゅ)がただ一人、濡(ぬ)れた唇に輪形をつけしきりと梶の方を向き向き、喇叭を吹いたり止めたりした。
「あっ、あの喇叭はこの子を愛しているな」