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Japanische Klassiker mit Furigana

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はるはばしゃにのって

機械・春は馬車に乗って

横光 利一

Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme

Aozora Bunko

そうして断(き)れることもなく続く間にも、波うつ地表の果てもない変化が彼の頭に泛(うか)んで来るのだった。

「それでは、明日の午後、二時にまた参ります」とヨハンは急に云って音楽の途中で帰っていった。

部屋で彼ひとりにこのダニューブの月出の情緒を味(あじわ)いさせたいヨハンの、心の籠った引き上げ方だった。ひとりになってからも梶は、広すぎる二人寝台の、それも二台も連ったその一つの片隅(かたすみ)にこっそりと寝た。そして、また窓の下の音楽を聴いていたが、タローガッタはなお熄(やす)む様子もなく河の上に射す月の光に応じた。それは千里に連る原野の秘めた歴史のようであった。高鳴りひびく音が旗を巻き、崩(くず)れ散り、怨(うら)みこもる低音部の苦しみ悵快(ちょうおう)とした身もだえになると、その音は寝ている梶の腸(はらわた)にしみわたった。

翌日はまたヨハンは約束の時間に顕れた。この日は昼の間街の名所や旧跡を廻った。案内しながら話すヨハンは驚くべき記憶力と彼の博学さを少しずつ謙遜(けんそん)に示し始めて来るのだった。また彼は大学で日本語を教えていること、日本へは一度も行ったことはないが、好きなため一人で日本語の勉強を始めたことなどを梶の尋ねるままに話した。