Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶしゅうこうひわ
武州公秘話
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 武州公秘話 (ぶしゅうこうひわ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.572 Zeichen · 209 Bildschirme
彼女が少年を惹きつけたのは、とき/″\じっと首を視入る時に、無意識に頬にたゝえられる仄かな微笑のためだった。その瞬間、彼女の顔には何かしら無邪気な残酷さとでも云うべきものが浮かぶのである。そしてその髪を結ってやる手の運動が外の誰よりもしなやかで、優美である。彼女はおり/\、傍の机の上から香炉を取って、それで髪の毛を薫きしめる。それから、髪を結い上げて、元結を結んでしまうと、それが一つの作法だと見えて、櫛の峰の方で、首の頂辺をコツコツと軽く叩くのである。法師丸はそう云う彼女をたまらなく美しいと感じた。
「いかゞでございます、もうおよろしゅうございましょう」
老女にそう云われて、少年は急に赧くなった。老女の顔はいつか優しい品のよい伯母さんに復っていたけれども、ニコニコしながら此方へ向けている彼女の眼が、何か自分の秘密を見透かしているように、法師丸には思えたのである。
その晩、彼等が屋根裏にいた間は、今の時間にすれば二三十分に過ぎなかったであろう。元来なら法師丸は、もう少し其処に置いてくれるように老女にせがむところであった。子供が珍しいものを見たがるのに何の不思議もない訳だから、「己はもっと見ていたいんだ」