Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
Lesen Sie 武蔵野 (わすれえぬひとびと) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.018 Zeichen · 192 Bildschirme
五月雨も夕暮れも暮れゆく春もこの二人にはとりわけて悲しからずとりわけてうれしからぬようなり、ただおのが唄う声の調べのまにまにおのが魂を漂わせつ、人の上も世の事も絶えて知らざるなり。人生まれて初めは母の唄いたもう調べに誘われて安けく眠り、その次は自ら歌いて自ら眠るこの姉妹のごときなり、人唄えばとて自ら歌えばとてついに安き眠りを結び得ざるは貴嬢のごとき二郎のごときまたわれのごとき年ごろの者なるべし、ただ二郎この度は万里の波上、限りなき自然の調べに触れて、誠なき人の歌に傷つきし心を安めばやと思い立ちぬ。げに真情浅き少女の当座の曲にその魂を浮かべし若者ほど哀れなるはあらじ。
われしばしこの二人を見てありしに二人もまた今さらのように意づきしか歌を止め、わが顔を見上げて笑いぬ、姉なるは羞しげに妹なるはあきれしさまにて。われまたほほえみてこれに応えざるを得ざりき。君はこのごろ毎夜狂犬いでて年若き娘をのみ噛むちょううわさをききたまいしやと、妹はなれなれしくわれに問えり、問いの不思議なると問えるさまの唐突なるとにわれはあきれて微笑みぬ。姉はわが顔を見て笑いつ、愚かなることを言うぞと妹の耳を強く引きたり。