Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
すいごういぶん
水郷異聞
田中 貢太郎
Lesen Sie 水郷異聞 (すいごういぶん) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.516 Zeichen · 36 Bildschirme
省三は舟のことは女が精しいから云うとおりに乗ろうと思ってそのまま乗り移った。舟のどこかに脚燈を点けてあるように脚下が黄ろく透して見えた。
「いよいよ乗せたから、持ってお出でよ」
女はこう云いながら続いて乗って胴の間に腰をかけて省三と向き合った。女の体は青黄ろく透きとおるように見えた。
「皆でなにをぐずぐずしているのだね、早く持ってお出でよ」
省三は体がぞくぞくした。と、舟は発動機ででも運転さすように動きだした。
「この舟は一体なんです、変じゃありませんか」
「変じゃありませんよ」
「でも、機械もなにもないのに動くじゃありませんか」
「機械はないが、数多の手がありますから、動きますよ」
「え」
「今に判りますよ、じっとしていらっしゃい」
「そうですか」
女は大きな声をだして笑いだした。省三は怖る怖る女の顔に眼をやった。黄ろな燃えるような光の中に女の顔が浮いていた。
「なにをそんなにびっくりなさいますの」
女の顔は左に傾いて細かい数多ある頭の毛が重そうに見えた。それは前橋の女の顔であった。
「わっ」
省三は怖ろしい叫び声をあげて逃げようとして舟から体を躍らした。
二日ばかりして山根省三の死骸は、壮い女の死体と抱きあったままでその川尻の海岸にあがって細君の手に引きとられたが、女は身元は判らないので、それはその土地の共同墓地に埋め