Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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「ちんもく」のはなし

「沈黙」の話

豊島 与志雄

Lesen Sie 「沈黙」の話 (「ちんもく」のはなし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.184 Zeichen · 13 Bildschirme

Aozora Bunko

言葉巧みに滔々と述べ立てる者は、余り人から信用されず、僅かな言葉で多くのことを云い現わす者ほど、人から信頼されたのみならず、一言も云わずに自分の意志を人に通ずる者や、一言の問いもかけずに他人の意志を悟る者が、最も尊敬されるのであった。

そういう国から来た使者である。王の前に案内されると、一礼をしたまま、黙って進み出で、王の玉座のまわりに円を描いた。それからそこに坐りこんで、きっと唇を結び、王の顔を見ながら、返答を待つもののようである。

王には、自分の玉座のまわりに描かれた円の意味が、どうしても分らない。眼付で、それから低い小声で、周囲の大臣や将軍たちに尋ねたが、誰にも分らないらしい。

王はひどく苛立ってきた。自分を初めとして、大臣将軍等のうちに、隣国の使者の意味を判断する者が一人もいないとは、一国の名誉に関することである。王は燃え上ってくる憤りを抑えつけ、相変らず沈黙を守ってる使者に向って、隣室で評議した後に返答する旨を告げて、一先ずその急場を遁れた。それから大臣等に命じて、誰でもよろしいから隣国の使者に応対出来る者を探させ、もし見付からなかった場合には、一同の首を刎ねると申渡した。