Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かっぱ

河童

芥川 竜之介

Lesen Sie 河童 (かっぱ) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.576 Zeichen · 75 Bildschirme

Aozora Bunko

」

長老は僕らにこう言われると、もう一度深い息をもらしました。しかもその目は涙ぐんだまま、じっと黒いヴェヌスを見つめているのです。

「わたしも実は、――これはわたしの秘密ですから、どうかだれにもおっしゃらずにください。――わたしも実は我々の神を信ずるわけにいかないのです。しかしいつかわたしの祈祷は、――」

ちょうど長老のこう言った時です。突然部屋の戸があいたと思うと、大きい雌の河童が一匹、いきなり長老へ飛びかかりました。僕らがこの雌の河童を抱きとめようとしたのはもちろんです。が、雌の河童はとっさの間に床の上へ長老を投げ倒しました。

「この爺め! きょうもまたわたしの財布から一杯やる金を盗んでいったな!」

十分ばかりたった後、僕らは実際逃げ出さないばかりに長老夫婦をあとに残し、大寺院の玄関を下りていきました。

「あれではあの長老も『生命の樹』を信じないはずですね。」

しばらく黙って歩いた後、ラップは僕にこう言いました。が、僕は返事をするよりも思わず大寺院を振り返りました。大寺院はどんより曇った空にやはり高い塔や円屋根を無数の触手のように伸ばしています。なにか沙漠の空に見える蜃気楼の無気味さを漂わせたまま。