Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なきむしこぞう

泣虫小僧

林 芙美子

Lesen Sie 泣虫小僧 (なきむしこぞう) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.906 Zeichen · 70 Bildschirme

Aozora Bunko

母親の貞子は、そういって、歪んだ雨戸をがらがらと閉ざし始めた。啓吉は黙ったまま井戸端へまわったが、ポンプを押すのもかったるくて、ポンプに凭れたままさっきの蟋蟀のことを思い浮べていた。絵本を見るような動物の世界を、啓吉は不思議な程に愉しく思い、どこからかガラス鉢を盗んで、あの二匹の蟋蟀を飼ってやろうかと思った。

「兎に角、素敵に面白いからなア……」

と、ニヤリと笑うと、急に思いついたように、ギイコギイコポンプを押し始めた。

「啓ちゃん! 早くなさいよ、渋谷のおうちへ行くのよ……」

母親の貞子が、華やかな黄いろい帯を締めて、白い洋服の礼子の手をひいて裏口へまわって来た。

二

「あんたみたいなひとは、本当にお父様のお墓の中へでも行ってしまうといいんだよ! 何時でも牡蠣みたいな白目をむいて一寸どうかすれば、奉公人みたいな泣方をしてさア……ええ? どうしてそんななのかねえ、おじさんだって可愛がれないじゃないか……」

啓吉は知らん顔で母親の後から歩いていた。礼子は母親に抱かれたままで色んなひとりごとを言っている。

「さア、礼子ちゃん、ブウブウに乗りましょうね、自動車よ……」