Japanische Klassiker mit Furigana
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しんやのしちょう
深夜の市長
海野 十三
Lesen Sie 深夜の市長 (しんやのしちょう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.982 Zeichen · 220 Bildschirme
――拍手とシーッシーッという声とが入り交って起った。
「あッはッはッ。なんのことだ。鍵を入れただけのことで、金庫の扉は、ビクともしないじゃないかッ! うわッはッはッ」
「インチキ公吏を葬れ」だの、「市長はどうした、市長を出せ」とか、「首を縊って天下に謝罪しろ」とか、聞くに堪えない罵声が、また一としきり市長室の壁も破れんばかりに響いた。
「満場の諸君!」と、動坂三郎は大声を張りあげた。「この出鱈目にして無恥厚顔なる現市長一派に対し、吾輩はこれから血涙を払って、重大なる曝露を始める。正義の同志よ、吾輩の云うことに耳を藉せ」
喚声は三度、市長室の壁を震駭させた。「謹聴謹聴」という。
「……昨夜のことだ。吾輩の邸は、恐るべき暴漢の一味によって襲撃された。暴漢は土足のまま闖入し、手当り次第什器を破壊し、婦人の寝室を襲い、吾輩を人事不省に陥れて手籠めにした。暴漢は貴重なる数々の物品を奪っていったが、その主要なる目的は、T市の黄金の鍵を奪うにあった。T市の黄金の鍵! それはT市長が生命を賭して保管しなければならぬ貴重品だが、高屋市長は或る秘密事件に関係して、代償の約束のため、秘密を握る某氏に貴重なる鍵を預けたのである。