Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せんこうてい「ハビヒツブルグ」

潜航艇「鷹の城」

小栗 虫太郎

Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

「でも、そんなことより、貴方には復職のことが大切じゃございませんの。四郎太の遺書が、もしかして偽造とでもなったら、その悪い夢もきっと消えてしまうと思いますわ」

「ああ、あの遺書がですか、だが僕には、遺書よりも、もっと大切なことがあるのです。それは、船場という男ですが、あの人間には、悔悟とか自殺とかいう性格は、微塵もありませんからね」

左枝の眼が、ほんのりと輝きを帯びてきた。

それが、まるで二重人格のように、それまでの彼にはけっして見られなかった、一種異様な鋒鋩の閃きなのであった。

法庭に天降ってくる、神の光のように、人の運命を秤るときのあの俤が……。けれども、それは間もなく消えて、左枝の身体には、痙攣のようなものが起ってきた。

「それに、僕は卑しいでしょう。あれから賭博もしましたしね。ところが今夜は、それ、こんな風に勝ってしまって……。だが僕は、しかし、一文なしです。これから帰るには、貴女に御拝借をしないと……」

この、例えようもない、解しようもない矛盾に、早苗もしばらく眼をって男の顔を見詰めていたが、やがて左枝は、取り出した札束にアッという間もなく火をつけた。