Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せんこうてい「ハビヒツブルグ」

潜航艇「鷹の城」

小栗 虫太郎

Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

すると友田屋、これで逢痴の死が、戸板の中で行われたのでないという事が分るだろうね」

そうして、執念く作り藻を取り上げては、キュッと捻り、したたる水の色を、貪るように眺めているその光景には、また髪梳きの場が聯想されてきて、それは「玻璃の光り」という、下座の独吟でも欲しいほどの物凄さだった。

しかし、水中に出血がないという事は、一方において、殺人現場を舞台以外に局限してしまった。そうなると、当然裏向きお岩の疑問が起ってきて、幸いだんまりの場面の暗さを機に、あれが誰かの一人三役ではないかとの疑いも起ってくるのだった。

しかし、そうしているうちに、舞台裏の調査が終って、実に驚くべき、報告がもたらされてきた。

と云うのは、座内を隅々まで探したのだったが、一滴の血さえ発見されないばかりでなく、誰しもが、格闘の物音も聴かずと云い、ただ逢痴の部屋から平素使う沃度の注射器を、拾い上げて来たのみであった。

そうなってみると、出血の失踪は、実に驚嘆すべき奇跡となり、早くも法水の顔には、ただならぬ困惑の色が現われた。

したがって奈落の調査が、慌しく行われることになったのである。