Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme
ああ艇長の死体を艇から引き出したのは、かねて伝説に聴く海魔の仕業でしょうか、それともまた、文字どおりの奇蹟だったのでしょうか。
いずれにしても、艇長の死と死体の消失が厳然たる事実であることは、その後に艇を引き揚げた、日本海軍の記録的に明記するところなのです」
風はなぎ、暁は去って、朝靄も切れはじめた。犬射は、感慨ぶかげな口調を、明けきった海に投げつづける。
「艇内は、その前後に蓄電の量が尽きてしまい、吾々が何より心理的に懼れていた、あの怖ろしい暗黒が始まったのです。すると、それから二時間ばかりたつとがたりと艇体が揺れ、それなり何処へやら、動いて行くような気配が感ぜられました。
そうしてわれわれは奇蹟的にも救われたのですが……もともと沈没の原因は、艇の舳を蟹網に突き入れたからで、もちろん引揚げと同時に、水面へ浮び出たことは云うまでもないのであります。
ところが、その暗黒のさなかに、四人がとんでもない過失をおかしてしまったのです。
と云うのは、寒さに耐えられず嚥んだ酒精というのが木精まじりだったのですから、せっかく引き揚げられたにもかかわらずあの暗黒を最後に、吾々は光の恵みから永遠に遠ざけられてしまったのでした。