Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せんこうてい「ハビヒツブルグ」

潜航艇「鷹の城」

小栗 虫太郎

Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

「なるほど判った。それで君は、クリームヒルトのことを云いたいのだろう。あの女主人公の個性は、この暗い復讐悲劇の中で、最も強烈を極めている。ハーゲンに殺された夫ジーグフリードの幻を、胸に抱きしめて、クリームヒルトは匈牙利王エッツェルの許に嫁ぐ。そして、十七年後に復讐を遂げるのだが、それには船長を片時も忘れられず、八住の妻となった、ウルリーケが生き生きとしているじゃないか。あの気高く、何ものをも覆い尽そうとする愛――その青白さはどうだ。あれはまったく、超自然の色だよ。ウルリーケの血管に、まさか一滴の血もない気遣いはないが、もし青白い光の前に立たせたとしたら、あの女は無形物のように透きとおってしまうだろう。だが、法は法、動機は動機だ……」

と検事は卓子を叩かんばかりの気配を示したが、その時ふと、竦んだような影が差した。

と云うのは、この静寂のなかを左手の室――そこには、扉も窓も鎖されていて、なに者もいよう道理のない部屋の方向からして、妙に侘しく、コトリコトリと寒さげな音がひびいてきたからである。

しかし、智性を鋭くしてみると、そこには心を乱すような、何ものも含まれている気遣いはないのであるから、瞬間に検事は、旧の顔色を復して続けた。