Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme
朝枝の不審は、それ以上の動作には出なかったけれども、彼女が去った後の室内は、沈黙の中で凝と虚空から見つめているものがある気がして、なにか由々しい怖ましげな力が、ぞくぞくと身の上に襲いかかってくるのを感じた。
それまではいつか笑い声のうちに消え去るかと、朧ろな望みに耽っていたもの――それがいまや、吹きしく嵐と化したのであったが、二人はそこの閾まで来たとき、ハッと打ち据えられたように顎を竦めた。
それは、コトリと一つ、微かに響いたかと思われると、その長い余韻の上を重なるようにして、背後にある室から、盲人の話声が聴えるのだったが、もちろん怖れというのはそれではなかった。その室には、前方に色の褪せた窓掛が、ダラリと垂れているだけで、その蔭の窓にも隅の壁炉にも、それぞれ掛金や畳扉が下りてはいるが、壁炉の前にある紡車を見ると、それには糸の巻き外れたものが幾筋となくあって、明らかに触れた人手があったのを証拠立てていた。
誰ひとり入ることのできないこの室で、紡車が巻かれてあった――まさにその変異は、最初法水が防堤の上で想像した一人の、眼に触れた最初の断片なのである。