Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

こぞうのゆめ

潤一郎ラビリンスV――少年の王国

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 潤一郎ラビリンスV――少年の王国 (こぞうのゆめ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.989 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

そのうちに、彼はふいと机の傍を立ち上って、もどかしそうに室内を往ったり来たりし始めた。

「そうだ、勘定が溜って居るからと云って、そんなに遠慮することはない。………彼処の家の忰は己の受持ちの生徒なんだ。………今度一緒にと云えば、おついでゞよろしゅうございますと云うにきまって居る。耻しいことも何にもない。己は一体に気が小さいからいけないのだ。………」

こんな考が浮かんだのをきっかけに、彼はいつ迄も頭の中で一つ事を繰り返しながら、同じ所をぐる/\と歩き廻って居た。

日の暮れ方に、貝島はぶらりと表へ出て、K町の内藤洋酒店の方へ歩いて行く様子であった。洋酒店の前へ来た時、店先に彳んで居た店員の一人が、叮嚀に頭を下げて挨拶をした。貝島はちょいと往来に立ち停って、ニコリとして礼を返した。………帳場の後ろの、罐詰や西洋酒の壜がぎっしり列んで居る棚の隅に、ミルクの罐が二つ三つチラリと見えた。しかし貝島は、何気ない体で其処を通り過ぎてしまった。

家の近所まで戻って来ると、赤児はまだ泣いて居るらしく、ぎゃあ/\と云う喉の破れたような声が、たそがれの町の上を五六間先まで響いて来た。