Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼくとうきだん

濹東綺譚

永井 荷風

Lesen Sie 濹東綺譚 (ぼくとうきだん) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.666 Zeichen · 114 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「浮世離れてッて云う歌があるじゃないの。……奥山ずまい。」

「すみちゃん。おれは昨夜から急に何だか若くなったような気がしているんだ。昨夜だけでも活がいがあったような気がしているんだ。」

「人間は気の持ちようだわ。悲観しちまっちゃ駄目よ。」

「全くだね。然し僕は、何にしてももう若くないからな。じきに捨てられるだろう。」

「また。そんな事、考える必要なんかないっていうのに。わたしだって、もうすぐ三十じゃないのさ。それにもう、為たい事はしちまったし、これからはすこし真面目になって稼いで見たいわ。」

「じゃ、ほんとにおでん屋をやるつもりか。」

「あしたの朝、照ちゃんが来るから手金だけ渡すつもりなの。だから、あなたのお金は当分遣わずに置いて下さい。ね。昨夜も御話したように、それがいいの。」

「然し、それじゃア……。」

「いいえ。それがいいのよ。あんたの方に貯金があれば、後が安心だから、わたしの方は持ってるだけのお金をみんな出して、一時払いにして、権利も何も彼も買ってしまおうと思っているのよ。どの道やるなら其方が徳だから。」

「照ちゃんて云うのは確な人かい。とにかくお金の話だからね。