Japanische Klassiker mit Furigana
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むだい(いち)
無題(一)
宮本 百合子
Lesen Sie 無題(一) (むだい(いち)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 20.502 Zeichen · 41 Bildschirme
戸口は開かれて、まだゆるい着物を着て、桃色のリボンの帯を裾に引くまでして片手に青い表紙の小形の本をもって顔だけ出しました。細い形の体はスーと吸い込まれた様にかくれました。まもなくそのまどの中に美くしい笑声がもれました。一時間がたちました。また美くしい細い形は戸口にあらわれて、
ロ「キットネ」と云う声に送られて自分の家の戸口に立ちました。
二人は夕方から又向の山に行って歌をうたいましょうって約束したんです。それから夕方近くになるまで一人部屋で書いて居ました。時々窓をあけて新らしいすずしい空気を吸い込んで青い山や、紫の雲の影を見ながら又新らしくけずった鵝ペンに墨をふくめて書き綴けました。白い紙はみどり色のテーブルクロースをかけた、丈の高いいい形の矩形の上に雪の降った様にたまりました。それをかたはしからとじてよみかえしてそしてほほ笑みました。わりに早く夕方になりました。まだ日はすっかり落ちきれません、窓のわきのユーカリの葉がまっくろい化物の様な影を机の上に落して居ます。
詩「アア、おそくなると悪い、すぐ行こう、サゾ待って居らっしゃるだろう」と云ってそのまま庭つづきに出て行きました。