Japanische Klassiker mit Furigana
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むだい(いち)
無題(一)
宮本 百合子
Lesen Sie 無題(一) (むだい(いち)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 20.502 Zeichen · 41 Bildschirme
ローズはうしろむきに何かして居ました。けれども嬉しそうにその美くしい裾をヒラヒラさして出て抱える様にして部屋に入れました。一時間二時間若い詩人と美くしい三つ年上の女とは夢の様に淡いそして強い香を持った霧に立ち込められた様な柔いそして又つかれた気分で四時間位は夢の様にすぎてしまいました。左様ならをして家にかえったあとにローズが小さいやわらかくふるえた声で詩人の美くしい髪をなでながら、
ロ「貴方が十五で私が十八、三つ上」
と云ったのと深い心がありそうな目つきで見つめて居たローズの目の様子はどうしても忘られませんでした。その夜は詩人は外にも出ず書きもせず黒ずくめの着物を着た母のわきで祖母を対手にかるい調子で世間話をするのをききながら時々はりのある声で笑ったり時々母の話にあやをつけたりして床に入ってしまいました。翌朝まだ日の出ない内に詩人の部屋からは燈の光がもれてそしてペンの紙をする音が寝しずまった空気をふるわして居ました。朝母がもう起きたのと云う声をかけた時にはもう机の上には墨の模様のついた紙が沢山散って居ました。
それから一週間ほど食事の時毎にかおを合せるきりローズにも誰にもかおを見せないで一生懸命に書いて居ました。