Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎゅうにくとばれいしょ
牛肉と馬鈴薯・酒中日記
国木田 独歩
Lesen Sie 牛肉と馬鈴薯・酒中日記 (ぎゅうにくとばれいしょ) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.018 Zeichen · 109 Bildschirme
革包は容易く開いた。
紙幣の束が三ツ、他に書類などが入っている。星光にすかしてこれを見た時、その時自分は全たく夢ではないかと思っただけで、それを自分が届け出るとか、横奪することが破廉恥の極だとか、そういうことを考えることは出来なかった。
ただ手短かに天の賜と思った。
不思議なもので一度、良心の力を失なうと今度は反対に積極的に、不正なこと、思いがけぬ大罪を成るべく為し遂んと務めるものらしい。
自分はそっとこの革包を私宅の横に積である材木の間に、しかも巧に隠匿して、紙幣の一束を懐中して素知らぬ顔をして宅に入った。
自分の足音を聞いただけで妻は飛起きて迎えた。助を寝かし着けてそのまま横になって自分の帰宅を待ちあぐんでいたのである。
「如何がでした」と自分の顔を見るや。
「取り返して来た!」と問われて直ぐ。
この答も我知らず出たので、嘘を吐く気もなく吐いたのである。
既にこうなれば自分は全たくの孤立。母の秘密を保つ身は自分自身の秘密に立籠らねばならなくなった。
「まアどうして?」と妻のうれしそうに問のを苦笑で受けて、手軽く、
「能く事わけを話したら渡した」とのみ。