Japanische Klassiker mit Furigana
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Lesen Sie 狂い凧 (くるいだこ) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 111.430 Zeichen · 226 Bildschirme
医師のつめたい指が十二胸椎の辺を押えた。
「ここを押して、痛いですか?」
「いいえ。ちっとも」
「おかしいな。確かにこの骨はへしゃげている。昔、子供の時に、鉄棒から落ちたとか、何かで強く打たれたとか、そんなことはありませんでしたか」
さあ、と栄介は首をひねった。あるような気もするし、なかったような気もする。
「軍隊でね、崖から落ちたことはありますが、別に背中は打たなかった。もし打ったとすれば、その時痛いですか?」
「ええ。痛いですよ。この程度押しても、我慢が出来ないほどです」
医師の指はふたたび胸椎を押した。痛みはなかった。指はそろそろと背中を這って、右の脇腹の上にとまった。
「ここにへんなコブがある。変だな。痛いですか」
そこにも何の感じもなかった。
「前からありましたかね?」
「いいえ」
栄介は右手を廻して、それに触れて見た。卵ぐらいの大きさのぶよぶよしたものがあった。その感触に、突然栄介はするどい戦慄を覚えた。
「寒いですか」
栄介は黙って寝巻で背をおおい、ベッドの上に横になった。医師は少し考えたあと、静かに言った。
「一度レントゲンをとりましょう。明日、うちに来て下さい」