Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Lesen Sie 狂い凧 (くるいだこ) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 111.430 Zeichen · 226 Bildschirme
「子供?」
城介は血走った眼で、ゆっくりとうなずいた。
同じ東京にいて、時々会っていたけれども、城介は今までそんなことを、一口も洩らさなかった。しかしそれが嘘でないことは、表情や口調ではっきりと判った。
「いくつになるんだ。その子は?」
「三月に生れる予定だ」
「結婚の約束をしたのか?」
城介は首を振った。
「じゃ妊娠させたまま、東京を離れたのかい?」
「そうだよ」
城介はにがそうに盃をあけた。
「結婚は出来ないんだ。その女は人妻なんだから」
「人妻? するとその子は、お前のかその亭主のか、どうして判る?」
「そうなんだ。しかし女はそう信じている。信じているからには、何か根拠があるんだろう」
城介は唇を歪めた。笑うつもりらしかったが、声にはならなかった。
「しかしこちらには根拠がない。絶対にないわけじゃないが、絶対にあるということもない。思えば父親なんて、あやふやなもんだな」
彼は黙っていた。黙って考えていた。
「たとえばおれたちだってさ、おふくろから生れたのは事実だ。しかしおやじのタネだとは、はっきり――」
城介の呂律は乱れた。
「言い切れないと思うよ。おれは時々そんなことを考えた。