Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ねこののみとりぶし

猫の蚤とり武士

国枝 史郎

Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme

Aozora Bunko

「知りませぬ、拙者は知らぬ」

「さああの娘何者か? あの誘惑ただの色気か? それとも深い理由があるのか? 大問題でございますのねえ」

「何を云われる。拙者は存ぜぬ」

「あなた様に関わりあるかないか、これも問題でございます」

「…………」

「姉小路様に扈従なされて、江戸へおいでとは承わりましたが、どこにお泊まりでございますやら」

「…………」

「姉小路様のご下向も、秘密で個人のご資格とのこと、では大仰に伝奏屋敷などへ、お泊まりとは存じ上げませぬが」

「ご懇意の板倉周防守様の、お下屋敷にお泊まりでござる」

「ああではきっとあなた様も」

「さよう拙者も同じお屋敷に」

「妾の住居は下谷の鳥越、中山様のお屋敷の裏手、わかりよい所でござります。一度お訪ねくださりませ」

「用事がありましたらお訪ねもしましょう」

「京都でも幾度かお眼にかかり、大坂でも幾度かお眼にかかり、紀州でもお眼にかかりましたのねえ。……妾にとりましてあなた様は、おなつかしいお方なのでございますのに、その妾をあなた様には、邪魔物のようにお扱いなさる。情なしのお方、何んで情なしの……」

流し眄という眼で民弥を見た。

民弥は何がなしに身を縮めた。