Japanische Klassiker mit Furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme
「が、どこにいるのでござろう?」
「とんと見当つきませぬが、とにかく声をしるべとして、探してみることにいたしましょう」
――で、二人は歩き出した。
女がどこにいるものか、ほとんど見当がつかないので、――ワーンと聞こえる声の方へ、慢然と歩いて行くのであった。
叫んでいるのは菊女であった。
彼女は恐ろしい洞窟内を、出口へ出よう出ようとして、歩き歩き歩き廻った。
どうしても出ることが出来なかった。
恐怖が彼女を狂人のようにした。
三十郎の手に捕えられようと、この洞内で饑え死ぬより、まだまだ優しだと思うようになった。
そこで彼女は叫び出したのである。
「助けてーッ、助けてーッ、助けてーッ」
と。
叫びながら彼女は宛なしに歩いた。
暗い!
寒い!
足はつかれた!
もう躰もクタクタである。
精神も朦朧となって来た。曲がり角を一つまがった。
また曲がり角を一つまがった。
と、行手に松明らしい、火の光がパッと燃えて見えた。
「あれーッ」
と菊女は思わず叫んだ。
(こんな洞窟内に松明の火が!)
あまりの意外にあれーッとばかり、思わず悲鳴をあげたのであった。
早速には言葉が出なかった。