Japanische Klassiker mit Furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme
「恋の進物? 恋の進物とは?」
(しまった)
と公卿の老外交家は、自分の失言に後悔した。
「いやナニ、人形じゃ、女男の人形じゃ」
「女男の人形? それはお優しい? ……どなた様からどなた様への?」
(しまった)
と姉小路卿はまた思ったが、
「伊豆守殿から簾子姫へな」
「伊豆守様? 松平伊豆守様?」
「さよう」
と云ったが姉小路卿は、いよいよしまったと後悔した。というのは梶子というこの女を、女細作として使っているのが、松平伊豆守だということを、うすうすながらも知っていたので、その梶子には主人ともいうべき、伊豆守よりの進物を、恋の進物だなどと不謹慎に、つい失言してしまったことが、ひどく後悔されるのであった。
梶子は用捨しなかった。
(何かしらこれは臭い!)
そんなように感じられた。
で、彼女一流の、女細作らしい執拗さと、根強さとをもってグングン訊いた。
「伊豆守様とありましては、以前より妾をご贔屓くだされ、何彼とお心添えくだされまする殿様、そのお殿様の進物とあっては――恋の進物とありましては、ホ、ホ、ホ、聞きずてになりませぬ。……どなた様への進物なのでございましょう? ……簾子姫とおっしゃったよう存じまするが?」