Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

Lesen Sie 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.598 Zeichen · 182 Bildschirme

Aozora Bunko

「それを見る人の心々で、どっちがどうとも申されませぬ。二人ながら美しゅうございます」

「浪江殿に負けずに美しいというのか。ふうむ、それは素晴らしいの」と弦四郎は厭らしい笑い方をしたが、

「全く浪江殿はお美しい。ちょっと都にもなさそうだ」

「はいお美しゅうございます」

「性質はちと優しすぎるようだが」

「お父上がああいうお方ゆえ、いろいろご苦労がありまして、陰気になられるのでございましょう」

「いかにも処女らしくて俺は好きだ」

「山道に迷ったと仰せられて、あなたさまが数人のご家来を連れられ、丹生川平へおいでになって以来、どうやらあなた様におかれては、浪江様に大変ご執心のようで、もっぱら評判でございます」

「そうかな」と弦四郎は苦笑いをしたが、

「丹生川平へ入り込んでから、十日という日が経ってしまった。そのくせ俺はある重大な、用事を持っている身分で、かつ一人の人間を、探し廻っているのであるが、どうもお美しい浪江殿という、あのお娘ごを見て以来は、外へ行くのが厭になってしまった」

「我々住民にとりましては、有難いことにございますよ」

追従めかしくこう云ったのは、額に瘤のある若者であった。