Japanische Klassiker mit Furigana
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たばたにっき
田端日記
Lesen Sie 田端日記 (たばたにっき) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.435 Zeichen · 9 Bildschirme
それから、じゃデカルトだろう。君はデカルトが船の中で泥棒に遇った話を知っているかと、自分でも訳のわからない事をえらそうにしゃべったら、そんな事は知らないさと、あべこべに軽蔑された。大方僕が熱に浮かされているとでも思ったのだろう。このあとで僕の写真を見せたら、一体君の顔は三角定規を倒にしたような顔だのに、こう髪の毛を長くしちゃ、いよいよエステティッシュな趣を損うよ。と、入らざる忠告を聞かされた。
蔵六が帰った後で夕飯に粥を食ったが、更にうまくなかった。体中がいやにだるくって、本を読んでも欠伸ばかり出る。その中にいつか、うとうと眠ってしまった。
眼がさめて見ると、知らない間に、蚊帳が釣ってあった。そうして、それにあけて置いた窓から月がさしていた。無論電燈もちゃんと消してある。僕は氷枕の位置を直しながら、蚊帳ごしに明るい空を見た。そうしたらこの三年ばかり逢った事のない人の事が頭に浮んだ。どこか遠い所へ行っておそらくは幸福にくらしている人の事である。
僕は起きて、戸をしめて電燈をつけて、眠くなるまで枕もとの本を読んだ。
(大正六年)