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Japanische Klassiker mit Furigana

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ばんちょうさらやしき

番町皿屋敷

岡本 綺堂

Lesen Sie 番町皿屋敷 (ばんちょうさらやしき) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.494 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

勿論、主人が何事を仕出来そうとも、女子の召仕どもに何の係り合いがあろうとも思われないが、それでも可愛い娘をこうした暴れ者の主人に頼んで置くのは、何となく心許ないようにも思われてならなかった。

彼女は今もそんなことを繰返して考えながら、娘の懐かしい顔の見えるのを待っていると、やがて奥からお菊がいそいそと出て来た。

「阿母さん。まあ、こっちへ」

手を取るようにして自分の部屋へ連れて行こうとするのを、母はあわただしく断わった。

「いえ、いえ、ここの方が却って気兼ねがなくていい。どうで長い間のお邪魔も出来まい。ここで話して帰りましょう」

こういって、母は娘の顔をしげしげ眺めていた。別に用があって来たのではない。母は娘の無事な顔をひと目見て帰ればそれでもう満足するのである。その母の眼にうつったお菊の顔は、細おもてのやや寂しいのを瑕にして、色のすぐれて白い、眉の優しい、誰が見ても卑しくない美しい女であった。彼女は十六の秋にここへ来て、今年の春はもう十八の娘盛りになっていた。母と娘とは、この正月の宿さがりに逢って、それから幾らの月日を経たのでもないが、見る度ごとに美しくなりまさって行く娘の若い顔を、母はとろけるような眼をしてうっとりと見つめていた。