Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しらゆきひめ

白雪姫

久生 十蘭

Lesen Sie 白雪姫 (しらゆきひめ) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.723 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

アトリエからキャフェのテラスへ通うほか、たいして使いこんだことのない阿曽のなまくらな足には、でたらめに高低を刻んだ氷層の原を行くのは、難儀以上のものだったが、ヴォジュの山国生まれで、ブールヴァールをのして歩くのと、アトリエ巡りをするのを商売にしていたハナには、これくらいの行路は、ものの数でもないらしい。阿曽の薄弱な体力を、この際、ぞんぶんに思い知らせてやろうというふうに、先になってずんずん歩いて行くのは憎かった。

どうやら、そこも越えた。こんどは、かねて話に聞いていた氷河の割目につかまった。

氷河の流れの早さは、氷河の傾斜、氷の厚さ、流路のぐあいなどでそれぞれちがうが、おなじ氷河の流れでも中央部と岸についた両側とで早さに異同があるので、狭いところから広い谷に出て、縦に流れだすと、張力のバランスの破れたところに、大きな割目ができる。阿曽が行きあたったのは、氷河床の傾斜の急変部にでき、横走クレヴァスというやつで、四尺ぐらいの幅の開裂が流れを横に切って、どこまでもつづいている。

「クレヴァスか」

阿曽は吐息をついた。氷河に割目はつきものだから、はじめから予期された事態だったが、現実に見るそれは、話に聞いたような生優しいものではなかった。