Japanische Klassiker mit Furigana
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 白髪鬼 (はくはつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.046 Zeichen · 224 Bildschirme
好運というのは外ではない。そのY温泉行きの汽車の中で、意外な人物を発見したことだ。問題の湯治中瑠璃子に附添って世話をしていた婆やの豊が、一人ぽっちで、わしと同じ箱に乗っていたではないか。先方では変り果てたわしの姿を気附く筈はないけれど、わしの方ではどうして見逃すものか。お豊は瑠璃子の里から附添って来た姦婦の腹心の召使なのだ。わしはS市に帰ってからまだ瑠璃子に逢っていないが、このお豊を見ると、美しい瑠璃子の幻や匂を、身辺に漂わせている様で、何とも云えぬいまわしい気持になった。
だが、それにしても、婆やのお豊が今時分こんな方角へ、一体何をしに行くのであろうと、汽車が止まるたびに、今度は降りるか、今度は降りるかと、絶えず気を配っていたが、なかなか降りる気配はなく、とうとう終点のY駅まで来てしまった。
さてはと、胸を躍らせながら、わしはお豊のあとに廻って、彼女を尾行したのだが、やっぱり想像に違わず、お豊の行先は例の山の中の大牟田家の別荘であった。
お豊は別荘の少し手前で車を捨て、細い坂道を別け昇って行く。左には谷川、右は見上げるばかりの欝蒼たる大森林、その山道を幾曲りした奥に、暗い森に囲まれた空別荘が淋しく物凄く荒れ果てて建っている。