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Japanische Klassiker mit Furigana

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はくはつき

白髪鬼

江戸川 乱歩

Lesen Sie 白髪鬼 (はくはつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.046 Zeichen · 224 Bildschirme

Aozora Bunko

だが、わしはそれが嬉しかった。妻を娶って、親友の心が離れて行くかと案じたのは、杞憂に過ぎなかったのを知って、わしは大満足であった。

皆さん考えて見て下さい。この様な幸福が又と世にあるじゃろうか。

名誉ある爵位を持ち、家は富み、日本一の、少くもわしの目にはそう見えた美人を妻とし、その妻には愛され、親友には親しまれ、しかも、わしはまだ若かったのだ。これが人間最上の幸福でなくて何であろう。極楽世界でなくて何であろう。わしはあんまりよすぎて、いっそ勿体ない様な、空恐ろしい様な気持さえした。

あれはいつであったか、何でも結婚してから一年以上もたった時分だと思うが、川村と二人切で、例によって女について論じあっていた時、わしが一年以前とは、まるでうらはらに、女性を褒めそやすものだから、川村はたじたじとなって、何ぜか少し陰気な顔をしながら、

「君は本当に善人だよ」

と溜息をつかぬばかりの調子で云った。

何だか変に聞えたので、

「どうして、そんなことを云い出すのだ」

と尋ねると、

「少しも疑いということを知らぬからさ」

と、益々妙なことを云う。

「疑いといって、誰も疑う人がなければ仕方がないじゃないか」