Japanische Klassiker mit Furigana
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 白髪鬼 (はくはつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.046 Zeichen · 224 Bildschirme
この女は生れながらの娼婦であったのだ。
わしはこの隙見によって、川村の奴が、どれ程深く瑠璃子に溺れているかを知ることが出来た。彼は姦婦の柔かい指先の一触によって、たちまち水母の様になってしまった。
「それならいいけれど、じゃ結婚の話は帰ってから極めることにしよう。その時はキット承知させて見せるよ。ね、まさかいやとは云わないだろうね」
川村めさっきの意気込はどこへやら、よしよしとばかり譲歩してしまった。
「エエ、いいわ。その事はあんたが帰ってからゆっくり相談しましょうね。それよりも、そんなことよりも、ね、暫くお別れじゃありませんの。ね、ね」
瑠璃子の目が細くなって、赤い唇が美しく半開になって、何とも形容の出来ない愛らしい表情に変った。そして、その顔がソロソロと上を向き、なめらかな喉の曲線をあらわにして、忍びやかに、川村の唇の下へと迫って行った。
川村の奴、それを見ると、最早耐え得ないという様子で、いきなり両手を相手の背中に廻し、異様なうめき声と共に、瑠璃子の身体をわしの眼界から隠してしまった。
わしは再びそれを見たのだ。嘗ての日、墓穴を抜け出して来た夜、本邸の洋室のガラス窓の外に忍んで見たものを、再び見たのだ。