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Japanische Klassiker mit Furigana

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はくはつき

白髪鬼

江戸川 乱歩

Lesen Sie 白髪鬼 (はくはつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.046 Zeichen · 224 Bildschirme

Aozora Bunko

川村の顔は見えぬけれど、いやらしく弾んだ息が聞える。瑠璃子は、顔を心持上に向けて、眼を細め、口辺に何とも言えぬ嬌羞を含みながら、花びらの様な唇を、ソッとさし出している。

わしは見るに耐えなかった。だが、見まいとしても、目が釘づけになって、云うことを聞かぬのだ。

四つの唇が固く合わさって離れなかった。

わしはそれを目で見、耳で聞いた。

川村の背広の背中を、両脇から、しなやかな白い指が中心へと這い寄っていた。艶かしき虫の様に、五本の指の関節に力がこもって、がりがりと服地を掻く様にして、両人の呼吸と共に、その指が近寄り、遂に、指と指を握り合せてしまった。

唇を合せながら、瑠璃子の両手が、川村の背中を抱きしめているのだ。

川村とても同様である。彼等は今や、両頭の獣の如く、全く一体になったかと疑われた。

わしはギリギリと奥歯を噛んだ。掌に爪がささる程拳を握った。冷いあぶら汗が額からも、腋の下からも、気味悪く流れた。そしてしゃがんだ身体全体が、おこりでも患った様に、ワナワナ震い出すのをどうすることも出来なかった。

若し彼等の狂態が、もう一秒長く続いたならば、わしは気が違って、前後の分別もなく其場へ躍り出したかも知れない。