Japanische Klassiker mit Furigana
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ひぶん
碑文
豊島 与志雄
Lesen Sie 碑文 (ひぶん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.294 Zeichen · 27 Bildschirme
そこの扉を開いて、徐和が頭をさげて佇んだ時、冷紅は声を立てて駆け出し、崔範は石段の上に竦んでしまいました。
その時、明るい真昼の中に見えたのは、冷紅にとっては、空低く飛んでる真白な美しい一羽の鳥でした。けれど崔範の眼には、それが真黒な鳥と見え、その暗い影がたちまち眼界を蔽い、頭のしんまでおしかぶさってきました。彼女は瞼をふさぐ力もなく、手の扇を半ば開いて持ち上げかけて取落し、自分も棒のように倒れかけました。
瞬間に、徐和が彼女を支えました。彼女の全身の重みが託されてくるのを徐和は両腕にしかと抱きとめ、しばしその顔を眺めていましたが、俄に身震いをして、彼女を軽々と胸に抱きあげ、彼女の私室へ駆けてゆき、その寝床に彼女を横たえ、それから室の外に向って、大声に人を呼びました。
冷紅がやって来、大勢の召使たちがとんで来ました。
崔範は意識を失ったまま、ただ細い呼吸を続けていました。
月光の美しい晩のことでありました。広庭の小亭で、二十五歳ばかりの青年がただ一人、ウイスキーを飲んでいました。白皙な顔容に長髪、クリーム色の背広服に革の白靴、崔家ではちょっと異様な身装でした。