Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

置文の書き継ぎなどは再び効かぬ。……そうだ、かかる物は、高氏が胸にたたんであればよいこと。益なき秘物……」

彼は、置文をつかんで、ぎりぎりと捻じまろめた。手燭を持って、縁へ起つ。そして、燭の火に翳してしまった。メラメラ……と一花の紅蓮は、彼の手からポトンと地へ落ち、薄い一ひらの灰と化していた。

「……おや、高氏さま、何をなされたのでございます?」

思わぬ人が、思わぬ所から、声をかけた。

空は、チチチチと囀りに明けかけている。その澄みきった浅黄いろの大気の下に、草心尼の姿が一茎の野の花みたいに弱々と見えた。

「おっ、尼御前か」

高氏は、ちょっと、びっくりしたが、すぐ、さり気なく。

「いやなに、無用な反古を、焼いていたまでのことです。何でもありませぬよ。はははは」

草心尼は、あらたまって。

「……高氏さま、おめでとうございまする。昨夜はこの尼までほっとして、よう眠りました。……今朝はそのことを御霊屋へ、御報告にでも」

「されば、蟄居の身も、ひとまず解かれましたゆえ」

「さだめし、御先祖のみたまも、これで御安堵なされたことでございましょう」

「いや、なかなかまだ、仏たちも、安心はしておりますまいよ。