Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
「……余りに、時過ぎましたが、おうけ取りくださいまし」
彼はさっそく、小さい包みを、差し出した。
「ほ。これが覚一の」
「そうです。私が都から帰国の日に、母御へ手渡して給えと、覚一がよこした一と品です」
「ま。しおらしや……」
彼女はもう、頬ずりでもしたいように、すぐ手に取って、開き始めた。
都ならではの香苞が、香の薫りと共に二つ出て来た。また、鞠が出来るほどたくさんな琵琶の切れ糸もその中につつまれていた。
「これは……?」
「覚一が申すには。……これ御覧あれば、このように覚一は、琵琶の習びに励んでいるということが、文で書くより、万言で申すより、母御によくお分り下さろうとのことでした」
「オオ。あの子が、そう言いましたか。……健気やの」
尼は、糸の屑を、胸に当て、頬に当てて、子の面影を瞼にしつつ、その親心を、もつれ糸のようにした。
ところへ、外から、屋形の家臣が、こう告げていた。
「若殿、若殿。――鎌倉へ御出府の用意も早やととのいました。北ノ方様にも、お門出の朝餉を共にせんと、お待ちかねです。すぐお戻りあって、お身支度を」
なべとかま
雨後、久しぶりな快晴だった。