Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
そして、自作の詩文を評し合い、また、時代の新思想とされている宋学を論究したり、時には、当代の泰斗を招いて、その講義を聴く――というおそろしく、まじめな会でもある。
が、それは表面の標榜にすぎなかった。――この中の武士にも公卿にも、およそ六波羅や、幕府方に信用されている人間は、一人も見あたらないのをみても、それはわかる。
ここの会場水鳥亭も、たれの館でもない。むかしは、奢りを謳われた大臣の別荘であったというが、住みてもなく荒れていたものを、一昨年ごろ手入れして、以来月々の“文談会”の例席としてきたに過ぎない。
だが、会合も、回をかさねること、すでに二十たびをこえ、そのつど顔ぶれもふえ、またさかんになるに従って、会後の婆娑羅な無礼講の遊宴も、いつか常例になっていた。
無礼講は、無礼問わずである。
僧は僧衣を外し、武者は烏帽子をかなぐり除けて肌をぬぎ、公卿も冠を床において、飲む、歌う、舞うの徹底的な快楽をつくすのだった。
これには、近くの堀川や六条あたりから、白拍子や遊女など二十余人も来て興をそえ、加茂川の瀬に朝月のかたむく頃まで、なおまだ、乱痴気な灯影や人影が、水亭の簾にさんざめいていることすらあった。