Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
忍び遊説ともいおうか。従来も日野資朝や、一味の若公卿は、身を山伏にやつしたり、医師雑人に姿を変えて、諸地方へ潜行をこころみてはいた。
ひそかに、世情を視察し、また辺土の反北条武族を見とどけ、もし、朝廷への加担確実な者とみれば、これを説いて、他日の約を、極秘にむすんでおくためであった。
しかし、北条勢力の堅密な北陸、東国などへ、大胆な足をのばした者は、これまでのところ、一人もない。
それだけに、人々は、大きな期待を彼によせていたし――また俊基の報告も、多くの者の希望を、がっかりさせはしなかった。
「諸国、何地へ行っても、眼には見えぬが、幕府への不平は、いたる所の疼きと申してもまちがいはない。一朝、鎌倉の変か、朝廷の令でも仰げば、郷をあげて、北条治下のきずなから離れんとしている輩は、地にみちておるものと観て来ました」
――述べ来って、彼が、ちょっと息をやすめたときだった。
座中のひとり、三位遊雅が反問した。
「それは、蔵人殿の足跡の多くが、天皇領や院ノ御領なので、みなさように口を合わせるのではないかな。思うに、地方の武士どもは、かつての承久ノ乱なるものを、今もなかなか忘れはおるまい。