Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
では、わらわは、これにて」
と、ぜひなげに、退がりかけた。
「いや、いてもよい」
後醍醐は、眉で抑えられる。
――と、もう殿上ノ間の端に、大炊御門冬信の姿が見え、そのまま彼方に平伏していた。
「冬信よの。告文の案は、認め終ったか」
「仰せつけのまま、謹んで、浄書つかまつりました。……なれど、異例なる綸旨ゆえ、辞句にも甚だ苦しみ、内記の人々とも、篤と文案を練りましたものの、なお心もとなく存ぜられます」
「さもあろう。天子が幕府の機嫌をとるような告文など、いかなる代にも、朝廷の内記が、筆にした例はあるまい」
お声の裏には、自嘲と憤怒の響きがある。
ほかに策なきままの我慢のお哀しそうな迸りが、逆に、投げ遣りのような調子で吐き出されたのだ。
冬信は、やや進み出て。
「聖旨に添い奉りますや否や、いちど叡覧給わりましょうか」
「それには及ばん。さっそく諸卿を召入れて、みなの意見に問え」
「では、これへ」
「……廉子、鈴を引け」
「はい」
彼女は、角柱へ立ってゆく。
「鈴ノ綱」とよぶ絹縒の綱が下がっている。遠い校書殿から蔵人たちの控え部屋にそれは鳴るような仕掛けになっていた。
五位ノ蔵人がすぐ御用を伺いに来る。